ぜんそくの原因
そもそも、ぜんそく(喘息)の原因って何でしょう?もちろんアレルギーも大きな原因のひとつですが、日常生活にはぜんそくの原因となるものが、たくさんあります。ぜんそくの原因は大きく二つに分けられていて、一つはアレルギーによるアトピー型、もう一つはアレルギーとは関わりのない非アトピー型と呼ばれています。特に大人のぜんそくは非アトピー型が多く、普段の生活の中で意外なものがぜんそくの原因や発作の誘因となっているかもしれません。
アレルギーによるぜんそく(喘息)
ハウスダストは、アトピー型ぜんそくのアレルゲン(抗原)として、最も多いとされています。アレルゲンの代表格と言われるダニの死がいや糞などが含まれているためです。
カビは、昔と比べて住環境が高気密になったことで増える傾向にあります。居室内や浴室のカビは目につきやすいのですが、エアコンや洗濯機などの家電製品には、機械の内部に湿気を多く含むことでカビの増殖につながるものがあります。これらは目につきにくいので、エアコンのフィルターをこまめに洗浄したり、洗濯槽のカビ取りをするなど、カビをなるべく増やさないように心がけましょう。
犬や猫などのペットの抜け毛やフケは、アレルゲンとなりやすく、かつダニが増える原因となります。ペットを遠ざけることが、ぜんそくの改善にもっとも効果があります。もし飼育を続ける場合は、寝室を一緒にしない、こまめにシャンプーをする、室内やケージの清掃を怠らないなどの工夫が必要です。
アレルゲンの物質はとても微小で、身近に存在しているにも関わらず、直接肉眼で見ることができないものが多いです。しかし少しでもアレルゲンを減らすために、毎日の清掃や家電製品の手入れなど生活環境を整えていくことが大切です。
ウイルス感染によるぜんそく(喘息)
風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症は、気道に炎症を起こすため、ぜんそくの悪化の原因となります。呼吸器感染症が流行している時期は、できるだけかからないよう予防(ワクチン接種、マスクの着用、帰宅時の手洗い)に努めてください。また風邪薬の中にはアスピリンなどの解熱鎮痛薬を含むものがあります。これらが原因となるぜんそくもあるので、安易に市販の風邪薬を服用するのは避けましょう。
タバコはぜんそく(喘息)の大敵です
タバコの煙にはたくさんの有害物質が含まれています。これらの有害物質は気道の炎症を悪化させるので禁煙に努めましょう。また副流煙による受動喫煙もぜんそくに悪影響があります。身近な人々には、禁煙をお願いしたほうがよいでしょう。
肥満とぜんそく(喘息)
意外に知られていないのですが、非アトピー型ぜんそくの原因は肥満が多いのだそうです。しかも肥満度が高くなるとぜんそくを発症しやすく、悪化もしやすいことがわかっています。これは、肥満によって気道がせまくなることや、脂肪細胞から分泌される物質などが原因と言われています。肥満度が下がるとぜんそくも改善されることがわかっていますので、食習慣の改善や運動習慣の確立によって、健康的な減量に取り組みましょう。
過労・ストレスとぜんそく(喘息)
過労や過度のストレスは、抵抗力を弱めるため、風邪やインフルエンザなどの、ぜんそくの原因となる感染症にかかりやすくなります。またわたしたちの体はストレスを感じると、自律神経などの乱れによって気道を収縮させることがあるので、これもぜんそくの発作につながります。忙しい毎日の中で、十分な休息を取るのは容易ではありませんが、なるべく無理をしないことが大切です。
大気汚染とぜんそく(喘息)
春先になると、ニュースなどで PM2.5 による大気汚染の話題をよく耳にします。PM2.5や排気ガスなどの大気汚染物質は、気道を刺激するので炎症の原因になります。
気温・気圧とぜんそく(喘息)
ぜんそくの発作は、寒冷前線の通過などで気温が急に下がった時、移動性高気圧や台風のように気圧が急変する時など、気候が不安定な時期に起こりやすい傾向があります。また寒暖差が大きくなる季節の変わり目は、風邪をひきやすくなります。風邪などの呼吸器感染症は、気道の炎症をともなうことが多いので、ぜんそくも悪化しやすくなります。冷たく乾燥した空気も気管支への刺激となるので、マスクを着けるのもよいでしょう。
アルコールとぜんそく(喘息)
摂取したアルコールは、速やかにアセトアルデヒドに分解されます。このアセトアルデヒドが有害物質であり、発作が誘発される場合があります。これをアルコール誘発ぜんそくと言います。日本人は、体質的にアセトアルデヒドを分解する酵素の働きが弱い人が多いことがわかっていますので、飲酒の機会がある時は要注意です。
ぜんそく(喘息)の原因を知り、生活習慣を見直しましょう
このようにぜんそくの原因は、どれも日常生活の中で身近なものばかりです。しかし原因がわかっていれば、それに対処するができます。特にタバコ、肥満、ストレス、アルコールなどについては、意識しだいで改善することができるもの。ぜんそくをよい状態でコントロールするためにも、積極的に改善に取り組んでいくことが大切です。
- 喘息の基礎知識