ぜんそく発作の対処法
ぜんそく(喘息)の治療は発作を起こさせない事を目的としていますが、ぜんそくの症状がない場合でも気管支に慢性の炎症が残っており、炎症を抑える治療(コントローラーと呼びます)は毎日おこなう必要があります。治療を勝手に止めてしまうと炎症が悪化してすぐに発作が起きてしまう事も多いです。一方で、治療等で安定していても風邪などを契機に急に悪化して発作が出る場合もあります。発作が起きてしまった場合に使用する治療薬は、毎日継続するコントローラーの薬とは異なる場合が多いので、注意して下さい。発作への対処法は程度によって変わってきますので、発作治療薬や救急外来受診のタイミングについて、普段から医師に相談しておく必要があります。
まずは、ぜんそく(喘息)の発作の程度を判断
発作の程度は、息苦しさの強度などから判断します。
- 息苦しさ
- 会話ができるか
- 普通に歩くことができるか
- チアノーゼ(※1)
- 意識の状態
このような部分を重点的に観察した上で、発作の程度を「小発作」「中発作」「大発作」に分けることができます。次項からは、ぜんそく発作の程度別の対処法を見ていきましょう。
ぜんそく(喘息)の小発作の状態と対処法
[状態]
- 息苦しさ…横になれる、急ぐと苦しい
- 会話…普通
- 歩行…普通〜やや困難
- チアノーゼ…なし
- 意識…正常
[対処法]
短時間作用性β2 刺激薬を吸入します。症状の改善が不十分な場合は20分後に再度吸入します。最大でもう一度まで吸入できますが、呼吸苦がある場合は救急外来の受診をおすすめします。
ぜんそく(喘息)の中発作の状態と対処法
[状態]
- 息苦しさ…横になれない
- 会話…やや困難
- 歩行…かろうじて歩ける
- チアノーゼ…なし
- 意識…正常
[対処法]
救急外来を受診しましょう。(ネブライザーでの吸入が可能であれば、短時間作用性β2 刺激薬を吸入しますが、救急外来をおすすめします)
ぜんそく(喘息)の大発作の状態と対処法
[状態]
- 息苦しさ…動けないほど苦しい
- 会話…困難、返事もできない
- 歩行…歩けない
- チアノーゼ…なし~あり
- 意識…正常~朦朧(もうろう)としている
[対処法]
大発作は危険な状態です。すぐに救急車を呼びましょう。(救急車の到着までは周囲の協力を得ながら、ネブライザーでの吸入が可能であれば、短時間作用性β2刺激薬を吸入します)
ぜんそく(喘息)の発作は、おさまった後が肝心!
ぜんそくの発作がおさまっても、気道の炎症は続いています。次の発作をなるべく起こさないように、コントローラーの治療を毎日欠かさずおこなうことや、生活習慣を整えることが何より大切です。発作がない時も医師の指示にしたがって治療を続ければ、しだいに気道の炎症がしずまり、次の発作を起きにくくすることができます。
また普段から大発作や突然の悪化に備えるために、ステロイド薬やβ2刺激薬はもちろんのこと、かかりつけ医の情報や緊急連絡先、薬の名前などを記載したカードを携帯しておくと役に立つでしょう。
(※1)チアノーゼとは…血液中の酸素が不足して、皮膚や粘膜が紫色になること。
- 喘息の基礎知識