ぜんそくとはどんな病気?
ほとんどの方が、ぜんそく(喘息)という病気を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。ご自身がかかった経験はなくとも、「そういえば子どもの頃、友達がぜんそくで時々欠席したり、体育の授業を見学したりして気の毒だったな」などの思い出をお持ちの方も少なくないでしょう。このようにぜんそくは「子どもが咳をする病気」というイメージで広く知られています。
ぜんそく(喘息)の症状と発作
ぜんそくは、気道(気管支)の慢性的な炎症によって起こる病気で、正式には「気管支ぜんそく」と呼ばれています。気道の粘膜が常に赤く腫れ、内側がせまくなった状態になり(気道の狭窄)、ちょっとした刺激にも過敏に反応してさらにせまくなって、ぜんそくの発作が起こります。発作を起こすと激しい咳に加えて、のどがゼイゼイと鳴って(喘鳴=ぜんめい)呼吸が困難になってしまいます。
増え続けるぜんそく患者
現在国内でぜんそく(喘息)と診断されている総患者数は800万人(※1)と言われていますが、患者の数は増え続ける傾向にあります。発症の原因としては PM2.5や排気ガスなどによる大気汚染や、日常生活にあふれる化学物質の増加などが挙げられます。まためまぐるしく変化する現代を生きるわたしたちの長年の課題である過労やストレスも、ぜんそく(喘息)の原因のひとつです。意外と知られていませんが、体重増加もぜんそくの原因となります。
ぜんそく(喘息)のタイプ
ぜんそくには、アトピー型と非アトピー型があります。
- アトピー型…日常生活でまわりにあるアレルギーの元になる物質(アレルゲン)に対してアレルギー反応を起こすものです。
- 非アトピー型…アレルギーの元となる物質がないにも関わらず、たばこなどが刺激となってぜんそくの症状が起こるものです。
小児期に発症するぜんそくはアトピー型が多く、成人発症型は非アトピー型が多い傾向があります。ぜんそくでは、咳・喘鳴・呼吸困難といった症状が発作的に現れますが、咳だけの症状が長期間つづく咳ぜんそくという病気があります。咳ぜんそくはぜんそくの前段階でもあります。
早めの受診と治療開始を心がけましょう
ただの咳だからと、市販の咳止めや風邪薬で対処していると、病気をこじらせ突然の大きな発作で呼吸不全を起こして緊急入院となる事もあります。早めに呼吸器内科などの医療機関を受診し、適切な治療をスタートさせることで、病気の悪化を防ぎ治療の効果が出やすくなります。ぜんそく(喘息)の治療は、できるだけ発作を起こさないための予防が中心となるので、どのような治療をおこなうのかを主治医と相談しながら、病気をコントロールしていくことが大切なのです。
(※1)「アレルギー疾患の現状等」厚生労働省 健康局 がん・疾病対策課 平成28年2月3日 アレルギー疾患患者の動向(p.9)より
- 喘息の基礎知識